出産後「気持ちが落ち込む」「辛い気持ちが続いている」というママはいませんか?
産後うつを疑ってもどこへ相談すれば良いかわからないと感じている方もいるでしょう。
もしかしたら産後うつかも?と感じているママに向けて、ここでは産後うつとはどのようなものか、パパにできることは何かも解説します。
1.産後うつとは
産後うつ病は産後3か月以内に発症し、気分の落ち込みや楽しみの喪失、自責感や自己評価の低下が見られつつも、この症状が2週間以上持続するものをいいます。
産後うつの好発時期は産後1ヶ月以内とされていて、マタニティブルーズがあった女性は産後うつ病発症のリスクが高まるともいわれています。
産後うつ病は14.4%の罹患率でしたが、感染症流行の影響によって産後うつの患者さんは2022年時点で28.7%と約2倍に上昇しています。
また、産後に自殺をした方の約30%が産後うつであったというデータもあり、産後うつへの対策は極めて重要であるといえるのです。
【参考】
1-1.産後うつの原因
産後うつの原因として考えられている主なものは、精神疾患の既往、妊娠中のうつ症状や不安、ソーシャルサポート不足です。
産後は特に精神面が不安定になりがちですが、双極性障害やうつ病の女性においては、妊娠中から産後6ヶ月の間までにおいて、少なくとも1回は精神症状が悪化すると言われており、産後うつにもつながると考えられます。
また、ソーシャルサポートの充実によって、産後うつを予防できるということも研究からはわかっており、逆にソーシャルサポートが不足すると、産後うつの原因になるといわれています。
ここでいうソーシャルサポートとは、夫や実の両親、夫の両親が対象です。
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1-2.産後うつの症状
産後うつがどのような症状かわからないという方もいらっしゃるかもしれません。
特に産後うつの症状は自分では気が付きにくいともいわれています。一緒に暮らす夫が妻の産後うつに気づき、早期にサポートをすることで早期回復へとつなげられるといえるでしょう。以下に当てはまっていた場合、産後うつの可能性が考えられます。
※必ず当てはまっていたからといって、産後うつとは限りません。
- 眠れていない、途中でよく起きている
- 食欲がない、はきけがしている
- 気分がゆううつ、不安感がある
- イライラしたり、パニックを起こしたりする
- 疲れている、生きる気力がない
- 気分の変化が激しい
- 自分を責めている
- 理由もなく涙がでている
- 家事や仕事が片付かない、段取りが悪くなっている
- 決断力がなく買い物に行っても決められない
- 死にたい、生きる意味がないというような発言をする
これらの症状が見られたら産後うつの可能性も考えて、心療内科や精神科などへ早期受診を検討しましょう。
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2.産後うつのママにパパができること
ママの産後うつを放置すると、さらなる症状の悪化へつながる可能性もあります。
子供にとって母親は非常に大切な存在です。その母親の症状が悪化してしまうことで、子供たちの成長に大きく影響してしまうことでしょう。
また、ママの産後うつは子供の長期的な情緒や発達、母子関係にも関係するといわれてます。
そのため、産後うつの前兆や症状が見られたら、パパはママをサポートしていくことが非常に重要です。
特に、産後の夫との良い関係は、産後うつの危険性を回避するといわれており、ママにとってはパパのサポートは実の親のサポートよりも重要と言えるでしょう。
それでは、パパとしてどうすれば良いのかについて、以下の3つを意識してみましょう。
【参考】
2-1.育児や家事を率先して行う
まずは、育児や家事を率先して行い、ママの心と体が休憩できる時間を作りましょう。
特に近年では子の出生後8週間以内の父親の育児休業取得が促進されています。
こういった制度を活用して出生後8週間の育児休業を取得すれば、ママの産後うつの好発時期に積極的に育児や家事に介入できるため、ママの負担を減らし、ママの産後うつのリスクを回避できるでしょう。
もしも、パパが育児や家事ができない、育休の取得が難しいということならば、地域の子育て支援や家事サポーターなどの社会資源を活用してみましょう。
最近では母親が出産前後で体を休めたい時や体調不良等のため、育児や家事が困難な場合において、子育て経験のあるヘルパーが家事や育児を手伝う産前産後のヘルパー派遣事業も各地自体にて行われています。
さまざまな制度を利用することで、家事や育児の負担を減らせることはもちろん、地域からのサポートにもつなげられるといえます。
しかし妊娠中や産後にママがこの制度の登録をするのには、体調の面からも負担があるかもしれません。
パパが家事や育児を手伝うのが難しいのであれば、ヘルパーを産後すぐに活用できるように準備してあげるのもよいでしょう。
【参考】
2-2.状況を理解して寄り添う
ママの心の負担をやわらげられるのは一緒に住んでいるパパだからこそできる場合もあります。
ママから育児や体調の相談や話をされたときには、片手間に聞くのではなく、しっかりと腰を据えて話を聞けるように環境を整えましょう。
育児や家事を夫がやってくれたということ以外にも心配事や悩みを聴いてくれたり、気を配ったり思いやったりしてくれることが、ママの抑うつ状態の回避につなげられます。
話なら実の親やママ友、地域支援センターの職員などでも良いのではと思うかもしれませんが、実はこれらの方からの支援と、産後うつの回避には関係性がないということが分かっています。
相談されたり話をされたときには必ずママの気持ちを受け止めて、がんばり過ぎないよう声をかけ、励まさないことが必要です。
【参考】
2-3.ママの時間を作る
可能であれば、ママに息抜きの時間を作ってあげましょう。
外出して友達と会ったり、おいしいご飯を食べたりすることで、ママの息抜きにつながるでしょう。
ただし、産後1ヶ月は外出が難しかったり、産後も外出をすると疲れたりするからと控えがちなママもいるかもしれません。
その場合は、パパが育児を率先して行い、ママが別室で好きなことをして息抜きできる時間を率先して作ってあげましょう。
2-4.専門機関へ受診できるように体制を整える
産後うつ病の母親は自分からはケアを求めないといわれているため、自分から産後うつの治療や相談ができる医療機関への受診ができない場合があります。
しかし、産後うつが進行すると産後精神病となる可能性があります。産後精神病になるとさらに回復へ時間がかかってしまうでしょう。
そのため、産後うつ病の段階で専門機関を活用して早期に回復ができるようにするのが望ましいです。
もしもママが産後うつかもしれないとパパが感じた時には、ママが専門の医療機関へ受診できるように体制を整えてあげましょう。
例えば、病院まで送迎をしたり、通院日には仕事を休んで育児や家事をしたりすれば、ママも負担なく専門機関へ受診ができるようになるでしょう。
【参考】
3.まとめ
妊娠期間、ママは約10ヶ月間お腹の中で赤ちゃんを育て上げ、無事に出産をします。まずは、このことを称えましょう。
そして、育児や家事を2人で寄り添って行っていくという意識を常に持つことが非常に重要です。
さらに、ママの身の回りの環境を整えて、早期に産後うつから回復できるあるいは産後うつを回避するためのアシストできるのは一緒に住んでるパパしかいません。
ママの産後うつを回避あるいは早期回復させるのはパパにとって最も重要な役割であるといえます。
本記事を参考にママの産後うつの予防や回避に向けてパパがママをサポートしてあげてください。