ネグレクトは、子どもの心身に影響を与える行為です。しかし、しつけとの境界があいまいなため、親が子どものために行った行為が実はネグレクトにあたる可能性があります。
本記事では、ネグレクトについてしつけとの違いや原因、子どもへの影響などを解説します。相談窓口も紹介するので、育児が辛く「子どもを放置しそう」と悩むパパ・ママはぜひお読みください。
ネグレクトとは
ネグレクトは、身体的虐待・心理的虐待・性的虐待と並ぶ虐待の1つで、幼児・児童・高齢者・障害者などに対して保護や世話・養育・介護を怠り放任する行為をさします。
子どもの場合、以下のような行為がネグレクトにあたります。
・食事を与えない
・清潔な衣服に着替えさせない
・医療を受けさせない
・愛情を示さない
・教育を受けさせない
・家・車の中に置き去りにする
これらの行為は、子どもの成長や人格形成に重大な影響を及ぼします。
どこからネグレクトでどこまでがしつけ?
ネグレクトとしつけの違いは、行為の内容や子どもの心身への影響にあります。
子どもの生活や成長に必要なケアを怠り心身を傷つける行為は、親がしつけと捉えていてもネグレクトに該当します。一方、適切な関わりで子どもが感情や行動をコントロールできるように導き、成長や社会適応を促す行為はしつけです。
例えば、こぼしながら食べるのを理由に子どもから食事を取り上げ、食べたがっているのを無視してその後も与えなければ、ネグレクトにあたります。ただし、パパ・ママが食事を取り上げず、子どもの手を取ってこぼさず食べる方法を根気強く教えるのはしつけです。
子どもへのネグレクトが起こる原因
子どもへのネグレクトの多くは、以下複数の要素が絡みあって起きています。
・親自身がネグレクト・虐待を受けて育った
・子どもに何らかの育てにくさがある
・経済的に問題を抱えている
親自身がネグレクト・虐待を受けて育った
親がネグレクトや虐待を受けて育つと、子どもにネグレクトが引き継がれることがあります。これは「世代間連鎖」と呼ばれ、親が適切な養育環境のもとで成長する経験を持たなかったことが原因です。
子どもに何らかの育てにくさがある
障害などが原因で、子どもに「癇癪がひどい」「こだわりが強すぎる」などの育てにくさがあることも、親が疲弊して育児放棄する要因です。
親が子どもの育てにくさを受け入れられず、医療・福祉的サポートの手続きや利用を放棄するケースもあります。育てにくさを隠そうとして親が孤立してしまうことも、ネグレクトの一因といえるでしょう。
経済的に問題を抱えている
家庭の経済問題もネグレクトの大きな要因です。アメリカの研究でも、貧困家庭では貧困でない家庭と比べて、子どものネグレクトが12倍も多くみられると報告されています。
生活費や医療費が足りない状況では、子どもに必要なケアを提供できなくなることが少なくありません。親の長時間労働や夜間労働も、子どもが放置される要因となっています。
参考:小児に対するネグレクトと虐待の概要 – 23. 小児の健康上の問題 – MSDマニュアル家庭版
ネグレクトを受けた子どもはどうなるか
ネグレクトを受けた子どもは、心身に影響を受ける恐れがあります。
身体面では、十分な食事を与えられないことで栄養失調になったり、愛情不足で成長ホルモンの分泌が抑制されて成長障害が生じたりすることがあります。また、ケガや病気の時に適切な治療を受けられなかった場合は、症状が悪化する危険性もあるでしょう。
そして心理面では、親と健全な関係を構築できないことで、対人関係や感情のコントロールに課題を抱えがちです。学校に通えなかった子どもは、言語発達が遅れたり同年代の子どもと比べて学力が低下したりするなど、知的発達に影響が出る可能性も考えられます。
参照:
小児に対するネグレクトと虐待の概要 – 23. 小児の健康上の問題 – MSDマニュアル家庭版
子どもをネグレクトしてしまっている、しそうと感じたら
育児に悩み、「子どもを放置しているかも」「関わりたくない」と感じたら、早めに周囲に助けを求めましょう。ひとりで悩みを抱えると、心の負担がさらに重くなります。
まずは、パートナーや信頼できる友人に育児の辛さを話してみてください。誰かに打ち明けるだけで、気持ちが軽くなることがあります。
身近に相談できる人がいなければ、自治体の子育て相談窓口を利用するのもよいでしょう。「子ども家庭110番」や「親子のための相談LINE」など、匿名相談できる窓口もあります。
早めの対処が、子どもの健全な成長とパパ・ママの心の安定につながります。
まとめ
ネグレクトは、子どもの心身に重大な影響を与えます。
育児に悩みを抱えたときはひとりで抱え込まず、信頼できる家族や友人、専門の窓口に相談しましょう。
famitasuでも個別オンラインカウンセリングを実施しておりますので、育児で悩むパパ・ママはお気軽にご相談ください。