「自分だけ家族から浮いている気がする」
「家庭にどう関わればいいのかわからない」
そのような孤立感を抱える父親は少なくありません。
この記事では、父親の家庭内孤立の背景や家族への影響、孤立を防ぐための工夫についてご紹介します。
父親が家庭内孤立する原因
父親が家庭内で孤立する要因として、以下が挙げられます。[1]
- 労働時間が長く直接的に子どもと関われない
- 夫婦関係がうまくいかず育児に参加していない
- 職場が家庭の事情に理解を示さず家庭に関与しづらい
- 育児は母親の役割という考えが強く育児に消極的である
とくにすれ違いやすいのは父親の仕事優先です。
父親は「働いて家庭にお金を入れるのが家族のため」という思いがあっても、母親は育児への参加を求めており、そのズレが父親の孤立を深めるパターンが少なくありません。
このように、父親の孤立には社会や職場、夫婦関係などさまざまな要因が関係しています。
父親の家庭内孤立が家族に与える影響
父親の家庭内孤立が家族に与える影響を見てみましょう。
子どもへの影響
父親が孤立して育児に参加しない家庭では、子どもが生活習慣を整えにくかったり、情緒的に不安定になったりするリスクが指摘されています。
一方で父親が育児に関わると、以下のような効果が期待されています。[2]
- 怪我や肥満の予防につながる
- 子どもの社会性や発達が促進される
- 朝食を家族で一緒にとり生活習慣が安定する
このように、父親の積極的な育児参加は、子どもの健康や社会性の発達を支える重要な要素です。
父親が家庭で孤立して育児に関わらない状況は、子どもの発達にとっても望ましいものとはいえません。
母親への影響
父親が家庭内で孤立し育児に関わらないと、母親の負担感が増し心身へ悪影響を与える可能性があります。
一方で、父親が積極的に育児参加していると母親の育児負担感は軽減し、幸福感も高まる傾向があるのです。
ただ、父親自身は「育児しているつもり」でも、母親に伝わっていないケースが少なくない点に注意しましょう。[3]
母親の心身の負担を減らすためには、父親の関わりが母親に伝わることが大切です。
夫婦が対話しながら協力し合うことが、母親の安心と家族全体の安定につながります。
父親自身への影響
父親が家庭内で孤立すると、以下のようなストレスを抱える可能性があります。
- 孤立感や無力感が強まりやすい
- ストレスを抱え込みうつ状態になるリスクがある
一方で、父親が家庭や育児に関わることは「夫婦関係の満足度」や「親としての自覚」を高める効果があることも示されています。
育児そのものに過度なストレスを感じてしまうと、心理的虐待のリスクが高まる可能性があるため、無理のない範囲での関わりが大切です。[2]
父親の家庭内孤立を防ぐためにできること
父親の家庭内孤立を防ぐためには、日常に取り入れやすい家事や育児から始めることが大切です。
例として、以下が挙げられます。
- 食器を片付ける
- 出勤前にゴミ出しをする
- 子どもの連絡帳や作品を見てコメントを残す
- 共有カレンダーや冷蔵庫のメモに予定を書く
- 「学校頑張って」「食事の用意ありがとう」などとメモを残す
とくに大切なのは、母親とのコミュニケーションです。
子育て中の夫婦に関する研究では、「ありがとう」や「お疲れさま」といった感謝の言葉を交わすことが、夫婦の満足度を高めることがわかっています。[4]
話す内容がなくても日常の小さな感謝を伝えることが、家庭内の孤立を防ぐポイントになるでしょう。
父親が家庭内で孤立してつらいときは相談しよう
「つらくて誰かに相談したいけど、どこに相談していいのかわからない」と感じている父親は少なくありません。
孤立感や無力感をひとりで抱え込むと、精神的に追い詰められうつ病のような精神疾患のリスクが高まります。
以下のような相談窓口を使いましょう。
- 地域の相談窓口
- 専門家のカウンセリング
- オンライン相談サービス
famitasuのオンラインカウンセリングでは、専門のカウンセラーと対話できるほか、チャットでのカウンセリングにも対応しています。
どこに相談すればいいかわからないときは、無理にひとりで抱え込まず一歩外に出てみましょう。
相談は弱さではなく、家族や自分を守るための自然な選択のひとつです。
父親の家庭内孤立は工夫とサポートで軽くできる
父親の家庭内孤立は、以下のような要因が重なって起こります。
- 長時間労働
- 夫婦のすれ違い
- 職場や社会の理解不足
孤立が続くと、子どもの発達や母親の幸福感、そして父親自身のメンタルヘルスにも悪影響が及ぶリスクがあります。
カウンセリングやオンライン相談などのサポートを利用することは、弱さではなく家族や自分を守るための大切な選択です。
famitasuのオンラインカウンセリングでは、専門のカウンセラーがあなたのお悩みに寄り添います。チャットでの相談も受け付けているので、ぜひお気軽にご相談ください。
参考資料
[1]森下 葉子
父親になることによる発達とそれに関わる要因
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjdp/17/2/17_KJ00004360569/_pdf/-char/ja
[2]加藤承彦
父親の育児参加が母親,子ども,父親自身に与える影響に関する文献レビュー
5.考察
https://www.jsph.jp/docs/magazine/2022/05/69-5_p321.pdf
[3]石井佳世子
父親の育児行動の促進と産後うつ予防:妊娠期の夫婦参加型育児支援介入モデルの効果検証
https://soukensui.jp/files/libs/600/202306140943291276.pdf
[4]育児期にある夫婦ペアレンティング
―互いの育児の批判をめぐって―