赤ちゃんが生まれて嬉しい反面、責任感やプレッシャー、忙しさから心に大きな変化を感じてしまうパパもいるのではないでしょうか。
これまで、産後うつは女性に多いことが知られていました。しかし、最近男性が育児にも取り組むようになった結果、男性も産後うつになる人がいることが判明しています。
放置すると夫婦関係や育児に影響が出ることもあるため、十分な対策が欠かせません。
この記事では、男性に多く見られる症状や原因、日常でできる対処法についてわかりやすく解説します。
産後うつは男性にも起こる
産後うつは、出産後のママだけでなくパパにも起こることが研究によって明らかになってきました。
2016年の国民生活基礎調査によると、産後1年間で父親の11%が産後うつを経験していることが分かりました。[1]
ママの産後うつの割合が10.8%なので、男性もほぼ同水準です。また、夫婦ともに産後うつになるケースも見られます。
男性に見られる産後うつの症状とは
ここでは、男性に見られる産後うつの主な症状について、精神面、身体面、行動の変化という3つの観点から見ていきましょう。
なお、赤ちゃんの誕生から3カ月の間にパパが感じる心の不調は「パタニティブルー」と言われています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
精神面の症状例
精神的な症状はさまざまです。主なものを紹介します。
- イライラや怒りっぽさが増える
- 気分の落ち込みや無気力感
- 強い不安や焦燥感
- わけもなく泣けてくる
不安感や焦燥感のほか、イライラが止まらずに攻撃的になるパパもいます。
身体面の症状例
身体にもさまざまな症状が出ることがあります。
- 寝つきが悪くなる、途中で目が覚める(不眠)
- 食欲が減る、または過食になる
- 疲れやすく、慢性的な倦怠感がある
不眠や仮眠、食欲減退などのほか、慢性的に疲れが取れないと感じる人もいます。
行動の変化
産後うつになると行動面での変化を感じることもあります。
- 家族と過ごしても楽しいと感じない
- 仕事や家事への集中力が低下する
- 趣味や好きだったことへの関心がなくなる
仕事に行きたくない気持ちが続いたり、これまでの趣味が楽しく感じられなくなったりした場合、産後うつの可能性も視野に入れてみましょう。
男性が産後うつになる原因
なぜ男性が産後うつになるのでしょうか。ここでは主な原因を3つ紹介します。
生活リズムの乱れと睡眠不足
赤ちゃんの夜泣き対応で睡眠が細切れになり、心身の回復が追いつかなくなります。普段から残業が多い人の場合は、育児でさらに睡眠不足が加速して産後うつの引き金となるケースも見られます。
慣れない育児や家事へのプレッシャー
「父親として頼られたい」「家族を守らなければ」という気持ちが強い人が、完璧を目指した結果、疲弊してしまい産後うつになることもありますよ。
ホルモンの変動
出産後の父親はテストステロン値が下がるという研究結果が報告されています。ホルモンの変化によって、疲労感や不眠、イライラといった症状が出やすくなります。[2]
男性の産後うつを放置するとどうなる?
男性の産後うつを放置すると、育児や夫婦関係に深刻な影響を及ぼすことがあります。
たとえば、パートナーとの衝突が増えれば夫婦関係の冷え込みにつながりがちです。また、パパの育児参加が減ると、ママの負担がさらに増えて関係が悪化することも。
さらに、仕事への集中力低下や欠勤の増加など、社会生活にまで影響が及ぶ可能性も否定できません。
症状が長引くと重症化し、長期の治療が必要になる場合もあるため、早めの対処が大切です。
男性に産後うつの症状が出たときの対処法
ここでは、男性に産後うつの症状が出たときの対処法を3つ紹介します。
生活習慣の見直し
産後うつかもと感じたら、生活習慣を見直してみましょう。
たとえば、睡眠時間の確保や栄養バランスの良い食事、軽い運動や散歩で気分転換を図るなどが効果的です。
パートナーや家族とコミュニケーションを取る
自分の気持ちを素直に共有し、役割を押し付け合わないようにしましょう。産後はママも不安定な時期です。互いの状況を理解し、助け合う意識が欠かせません。
医療機関や専門家に相談する
精神科や心療内科などで相談しましょう。症状が軽いうちに受診すれば、治療期間の短縮も期待できます。
また、自治体の父親向け育児相談や、ファミリーサポート、産後ケア事業などの制度を活用しましょう。手軽に利用できる相談先として、オンラインカウンセリングもおすすめです。
男性にも産後うつはある│症状に気づいたら早めの相談を
近年の研究で、男性の1割が産後うつになっていることが判明しました。イライラや不眠、気分の落ち込みなどの症状に気づいたら、疲れているだけと放置せずに、早めの対処が大切です。
症状に気づいたら一人で抱え込まず、家族や専門家、支援サービスなどを活用してみましょう。
参考文献
[1]国立研究開発法人国立成育医療研究センター│日本の父親における精神的な不調の頻度とそのリスク要因
https://www.ncchd.go.jp/scholar/assets/7a9c3db5c293e8016ca72df23efe9877.pdf
[2]AFP BB News│父親になるとテステトロン減少、育児協力に効果 米研究