あなたは、「ネガティブな感情」と言われて何を思い浮かべますか?
悲しみ、怒り、苦しみ、落ち込み、悔しさ、ねたみなど、いろいろありますね。
ほかにも、嫌悪感、恐怖、緊張、罪悪感、軽蔑などもネガティブな感情に入るでしょう。
ネガティブな感情は、人間が誰しも持っているものです。
ネガティブな感情を感じること自体はとても自然な感情です。
ネガティブな感情を感じたあと、あなたがどう受け止め、つき合っていくかがとても大事になります。
上手にネガティブな感情とつき合えると、あなたの成長にもつながっていくのです。
この話をする前に、まずネガティブな感情はそもそもどこから来るのか、そして人間はネガティブな感情をどうとらえるのか。
前編ではこの2点についてお話しします。
ネガティブな感情はどこから来るのか
ネガティブな感情は、大きく分けて4つの場面で生じます。
その4つの場面についてご紹介します。
1. 人間関係がからむ場面
人は、誰ともかかわらず生きていれば、他人と自分を比較したり、他人から嫌な言動を受けたりすることはありません。
ですが、他人とかかわったときに、人間関係が良好でなかったり、他人に対して劣等感を持つような場面に出会ったりすることで、悲しみや怒り、嫉妬心や落ち込みなどを感じることがあります。
2. 大きな失敗や挫折
人生の中で、大きな失敗や挫折をしたとき、悔しさや落ち込みなどを感じることがあるでしょう。
そして、その感情を克服できずにいると、同じような状況や場面に出くわしたときに緊張や恐怖を感じることもありえます。
大勢の中であがってしまって全く話せずに恥ずかしい思いをした、就職面接で受け答えできずに落ちてしまったなどがこれにあたります。
3. 疲れを感じたとき
忙しく動き回っているとき、楽しい活動をしているときは意外と疲れを感じないものです。
しかし、何もやることがなくなったり、我に返ったりすると、どっと疲れを感じることがあります。
そんなときにふとネガティブな感情が沸き起こることがあります。
急に落ち込んで布団から出られなくなったり、動き回っているときにやってしまった失敗を思い返しては落胆したり、罪悪感を感じたりすることがあります。
4. 自律神経の乱れ
自律神経には、交感神経と副交感神経があります。
活動するときは自律神経がはたらきますが、本来夜になったら疲れて眠れるはずが、うまく副交感神経がはたらかず、寝ようとしても頭だけが忙しくはたらいている状態におちいります。
あなたも、なかなか寝付けないときにネガティブな感情が自分を支配することはないでしょうか。
変に緊張したり、悲しみがおそってきたり、何かを思い出して苦しくなることもあるでしょう。
それでは次に、ネガティブな感情へのさまざまな認知のしかたについてお話しします。
ネガティブな感情ととらえ方
自分の中に起こったネガティブな出来事に対して、人間はさまざまなとらえ方をします。
ネガティブな感情を感じたときに自己否定、うつ状態、果ては人間不信に陥り、そこからなかなか抜け出せない人がいる一方で、ネガティブな感情を感じても、それを糧にしてすぐに立ち直れる人もいます。
このちがいは一体どうして生じるのでしょうか。
ネガティブな感情が生じたときにマイナスな気持ちから抜け出せないパターン
たとえば、Aさんが大学受験で第一志望の大学に落ちたとします。
「ああ、もうこの世の終わりだ!」
「これはもう一生の傷になってしまう」
こう感じたそのときのネガティブな感情を何年も引きずり、コンプレックスになってしまいました。
なぜこのようにマイナスな気持ちから抜け出せなくなるのでしょうか。
それは、「大学受験で第一志望の大学に落ちた」ということに対するAさんの「とらえ方」がそうさせているのです。
「自分には失敗体験しかない、私には能力がない」
「大学に落ちたら、一生親や親戚にバカにされ続ける」
「うちはお金がないのに、国公立の大学に行けなかった。親に申し訳ない」
このようなとらえ方をしていると、この出来事が「この世の終わり」と感じられても不思議ではないでしょう。
ネガティブな感情が生じてもすぐに立ち直れるパターン
同じく、Bさんも大学受験で第一志望の大学に落ちたとします。
最初はもちろん悲しいし、悔しい思いをしました。
それでも、日がたつにつれてだんだん立ち直り、新しいスタートを切り始めました。
AさんとBさんは同じ出来事にあっているのに、何が違うのでしょうか?
2人は「とらえ方」が違ったのです。
第一志望の大学に落ちたあと、Bさんはこんなことを思いました。
「今回は倍率が高かったのかもね」
「今回は自分の能力がおよばなかったけれど、もっと勉強すれば何とかなるかもしれない」
このようなとらえ方をすれば、ほかの大学でも楽しくがんばれるかもしれませんし、経済的になんとかなるなら浪人するという手も考えつくでしょう。
ネガティブな感情のとらえ方で人間はマイナスにもプラスにも変化する
「とらえ方」がちがえば、ネガティブな体験をして、ネガティブな感情を一度は味わったとしても、マイナスにもプラスにもなるのです。
ネガティブな感情への反応は、個人個人の生まれ持った性格だけで決まるわけではありません。
ほめられて育つ人、けなされて育つ人など、育児環境も影響しているかもしれません。
または、ご自身の積んできた経験の中で、どれだけ成功体験があったか否か、ということも大きく影響するでしょう。
持って生まれた性格、環境要因、経験、経済的状況など、すべてをまとめてあなたの「とらえ方」がつくられます。
まとめ
「ネガティブ感情との付き合い方」前編では、ネガティブな感情がどんなところから生まれたか、ネガティブな感情のとらえ方であなたの行動が変わってくる、ということをお話ししました。
後編では、ネガティブな感情との上手なつき合い方について、具体的にご説明します。
ネガティブな感情をどのようにとらえたら今後あなたの成長に活かせるかを考えていきましょう。
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