「育休を取ったけど思った以上に辛い」
そのように感じている男性は少なくありません。
職場に迷惑をかけているのではと不安になったり、家事や育児に慣れず妻から責められているように感じたりすることもあるでしょう。
家族と幸せに過ごすために取得した育休で、こころが追い詰められてしまうのはつらいことです。
この記事では、男性が育休中に感じやすい辛さやその背景、気持ちを軽くする工夫について解説します。
男性の育休取得率と葛藤
厚生労働省の「雇用均等基本調査」によると、男性の育休取得率は以下のように増加傾向がみられます。[1]
- 令和4年度:17.1%
- 令和5年度:30.1%
- 令和6年度:40.5%
このように、男性も育休を取るのが自然なことという風潮が強まりつつあるのです。
ただ、男性の育休取得期間は5日未満が約3割、2週間未満が約5割を占めており、1か月以上の長期取得はまだ少数派にとどまっています。[1]
背景には職場の人員不足があり、実際に取得できても「もっと取りたいけど言い出せない」と悩む男性が多いのです。
【職場編】育休中に男性が感じる辛さ
育休中は、多くの男性が職場への後ろめたさを感じやすいとされています。
背景には人手不足や評価制度などの職場環境があるため、育休を取得しても「自分だけ休んでいていいのか」と不安を抱きやすいのです。
具体的には、以下のような不安を感じるでしょう。
- 同僚に迷惑をかけているのではと罪悪感を抱く
- 育休取得により昇進に響くのではとキャリアが心配になる
- 長く休むなんて非常識と思われないかと周囲の視線が気になる
男性が育休で辛さを感じやすいのは個人の弱さではなく、職場に残る「男性は仕事優先」という価値観が影響していると考えられます。
男性の育休中の悩みについてもっと知りたいときは、こちらの記事を合わせてご覧ください。
【家庭編】育休中に男性が感じる辛さ
育休中の男性は、家庭のなかでも想像以上の葛藤を抱えることがあります。
慣れない家事・育児への不安や妻との役割分担のズレが、自信の喪失や孤独感につながりやすいのです。
たとえば、以下のような辛さを感じることがあります。
- 社会から切り離されたように感じて気持ちが沈む
- 赤ちゃんのお世話にとまどい何をすればいいのかわからない
- 家事や育児がうまくできず、妻から不満を言われ自信をなくす
育休中に家庭で辛さを感じるのは特別なことではなく、多くの男性が直面する自然な悩みといえるでしょう。
パパとママが協力して育休を取る制度である「パパママ育休プラス」について知りたいときは、こちらの記事を合わせてご覧ください。
男性が感じる育休中の辛さへの対処法
育休中に辛さを感じたときの対処法として、以下のようなものが挙げられます。
辛さを受け止める
育休中に「辛い」と感じるのは、ごく自然な感情です。
「赤ちゃんが泣き止まない」「家事が追いつかない」と慣れない家事や育児に向き合い、職場への配慮まで抱えているため、誰でもこころが不安定になりやすい時期といえます。
辛さを感じるのは弱さではなく、環境の変化に適応しようとするサインだと考え、自分を責めすぎないようにしましょう。
社会とのつながりを保つ
育休中は孤独感を抱きやすいため、社会とのつながりを持ち続けることが大切です。
パパ向けのオンラインコミュニティや自治体の子育て相談窓口を活用することで、同じ悩みを抱えている人がいると実感できます。
famitasuのオンラインカウンセリングでも、育休中の辛さをご相談いただけます。
こうしたつながりを活用して気持ちを吐き出す場を持つことが、こころの支えとなるでしょう。
職場復帰を見据えて準備をする
育休中に復帰後を見据えて準備をしておくことで、不安をやわらげやすくなります。
例として、以下のような工夫が挙げられます。
- 赤ちゃんの生活リズムに合わせて自分の就寝・起床時間を整える
- 家事や育児のやり方をマニュアル化して、復帰後も継続できるようにする
- 職場からの連絡をチェックしたり同僚とやりとりしたりしてつながりを保つ
- 学んだことや気づきをメモに残して、仕事にも活かせる経験を整理しておく
育休が終わってすぐに仕事モードへ切り替えるのは大きな負担になりますが、少しずつ準備しておくことでスムーズに戻りやすくなるでしょう。
男性が「育休が辛い」と感じるのは自然なこと
育休を取った男性が「思った以上に辛い」と感じるのは珍しいことではありません。
職場に迷惑をかけているのではという後ろめたさや復帰後のキャリアへの不安、家庭内での葛藤や孤独感などは、多くの人が経験している自然な悩みです。
自分が弱いのではないと知って辛さを抱え込まず、身近な人の支えを得ながら過ごすことが大切です。
育休は家族と向き合うだけでなく、自分自身の成長や働き方を見直す貴重な時間でもあります。
辛さと上手に向き合いながら、育休期間を家族との未来につながる時間として活かしていきましょう。
参考資料
[1]厚生労働省
令和6年度育児休業取得率の調査結果
https://tomoiku.mhlw.go.jp/assets/pdf/activity/document_R6.pdf











