「待ちに待った赤ちゃんとの生活なのに、気持ちが落ち込んでしまう」「頑張らなきゃと思えば思うほど、なぜか涙が出てくる」
そんな気持ちを抱えているママは、もしかすると産後うつの入り口にいるのかもしれません。
出産後は、忙しさやホルモンバランスの変化などにより、多くのママの心が揺らぎがちです。ところで、産後うつになりやすい時期は、2回あるといわれているのはごぞんじでしょうか。
この記事では、産後うつの発症しやすい時期や初期症状、対処法について解説します。
産後うつとは?誰にでも起こりうる心のゆらぎ
産後は、ホルモンバランスの急激な変化、育児のストレス、環境の変化などが重なるため、自己評価の低下や疲労感、孤独感を感じるママも少なくありません。
産後うつとは、出産後に気分の落ち込みや不安、不眠などが続く状態を指します。とくに不調が2週間以上続き、日常生活に支障が出る場合に、医療機関で「産後うつ」と診断されることがあります。
産後うつの発症率は約10%、つまり、10人に1人のママが経験しているといわれています。[1]
産後うつの発症時期はいつ?
産後うつには、大きく分けて2回の発症時期があります。
産後2週間~3か月
最も多いのが産後2週間~3か月です。出産の疲れが残る中で授乳や寝不足が続き、ホルモンバランスも不安定になりやすいため、心身ともに揺らぎやすくなります。
産後9か月ごろ
産後9カ月はママが育児に少し慣れてくる一方、赤ちゃんの動きが活発になる時期です。はいはい・つかまり立ち・離乳食の3回食などが始まり、ママの負担が一気に増えます。
また、「他の子と比べてしまう」「うちの子は言葉が遅い?」などの不安から、心の不調を感じるママもいます。
産後うつの発症時期には特に注意!初期症状のチェックリスト
産後うつの初期症状にはさまざまなものがあります。初期症状のチェックリストを紹介しますので、当てはまるものがあれば無理せず誰かに相談してみてくださいね。
心のサイン
まずは、心のサインからみていきましょう。
- 理由もなく涙が出てくることがある
- 気分の落ち込みが続く
- イライラすることが増えた
- 赤ちゃんを見てもかわいく思えないことがある
- 何をしても楽しいと感じられない
- 自分は母親失格だと感じてしまう
- 家族や友人とも話したくない
- 全てを投げ出したくなることがある
このような症状があれば、無理せず誰かに相談してみてくださいね。
体のサイン
産後うつの症状が体に出てくることもあります。
- 夜、赤ちゃんが寝ているのに自分は眠れない
- 食欲がなく、食事が苦痛に感じる
- ずっと体がだるくて動きたくない
- 頭痛・肩こり・動悸など原因不明の不調が続く
- 家事や育児を始める気力がわかない
あてはまるものがあれば、医療機関などへの相談も検討してみましょう。
つらいと感じたらどうする? 産後うつの対処法3選
「産後うつかも」と思ったら、一人で頑張ろうとせず、誰かに頼ることを考えてみてくださいね。
パートナーや家族に相談する
赤ちゃんのお世話は想像以上に体力も気力も必要です。「いま、ちょっとつらい」と伝えるだけでも大丈夫。
パパや家族はママの変化に気づいているけれど、「どう声をかけていいかわからない」のかもしれません。
「夕食の片づけをお願いしたいな」「15分だけ寝かせてほしい」など、具体的にお願いすることで、サポートを受けやすくなります。
地域の相談窓口を活用する
市区町村の保健センターや子育て支援センターには、産後の不安や悩みを相談できる窓口があります。話すだけで気持ちが軽くなったというママもたくさんいます。
自治体のホームページで「子育て相談」「産後ケア」などと検索してみてくださいね。自治体のホームページが分からない場合は「〇〇市 子育て相談」と調べてみるのもおすすめです。
医療機関を受診する
不調が続く時は、医療機関の受診も検討してみてください。次のような状態が受診の目安と言われています。
- 気分の落ち込みが2週間以上続く
- 食事や睡眠に大きな影響がある
- 自分や赤ちゃんに危害を加えそうで怖い
産婦人科や心療内科、メンタルクリニックなどで「産後の不調で相談したい」と伝えれば、きちんと対応してもらえます。
病院に行くのは、決して大げさではありません。ママが元気でいることが、赤ちゃんにとって一番の安心材料です。
産後うつの発症時期を知り、無理のない対策を
産後うつは、多くのママが直面する可能性がある心の不調です。とくに産後2週間~3か月、そして9か月頃は、心も体も疲れが出やすい時期といわれています。
「いつもと違うかも?」と思ったら、無理せず早めの相談が大切です。一人で頑張らず、まずはパートナーや家族に話してみませんか。
また、自治体の窓口や医療機関などあらかじめ調べておくと、いざというときにすぐに相談できるので安心です。
参考資料
[1]公益財団法人日本産婦人科医会