「子どもが生まれてからイライラが増えた」「家にいるのがつらい」と感じていませんか。
夜泣きによる睡眠不足や、仕事と家庭の両立で気持ちが追い詰められる父親は少なくありません。
この記事では、父親の育児ノイローゼやなりやすい人の特徴などを解説します。
父親も育児ノイローゼになる
育児ノイローゼは強いストレスや疲労から心身に不調があらわれる状態を指し、母親だけではなく父親にも起こり得る反応です。
生後1年未満の子どもを持つ父親の約11.0%に精神的な不調のリスクがあり、これは母親の割合(10.8%)とほぼ同じであることが分かっています。[1]
放置するとうつ病のような精神疾患につながる可能性があるため、早めに気づいて対処することが大切です。
男性の育児うつについて知りたいときは、こちらの記事を合わせてご覧ください。
育児ノイローゼになりやすい父親の特徴
心身の健康度が低い父親の特徴として、以下が挙げられます。[1][2]
- 世帯支出が多い
- 睡眠不足である
- 子どもが複数いる
- 不規則勤務で生活リズムが不安定である
- 妻が正社員である(または専業主婦である)
なかでも父親が悩みやすいのが「夜泣き」です。
妻を休ませたい思いで父親が夜泣き対応を背負い、睡眠不足が慢性化するケースは少なくありません。
また「父親はこうあるべきだ」という気持ちが強いほど、育児の自信を失いやすく不安が高い傾向が分かっています。
生活環境や価値観の影響により、育児中は父親も大きなストレスを抱えやすいのです。
父親の育児ノイローゼ|症状チェックリスト
育児ノイローゼは医学的な診断名ではなく「産後うつ」や「パタニティブルー」と重なる部分があると考えられています。
次のような症状が出ていないか振り返りましょう。[3]
■身体的なサイン
- 口の渇き
- 頭痛や肩こり
- 胃の不快感や下痢などの消化器症状
- 睡眠障害(寝つけない、夜中に目が覚める)
■心理的なサイン
- 気分が落ち込む
- イライラしやすい
- 家庭や子どもの存在を負担に感じる
このようなサインは、放置すると適応障害やうつ病などに発展する可能性があります。
心身の不調が2週間以上続いたり日常生活に支障が出たりしたときは、すぐに医療機関を受診しましょう。
パタニティブルーについて知りたいときは、こちらの記事を合わせてご覧ください。
父親の育児ノイローゼ体験談
実際に父親が感じた育児の困難として、以下が挙げられます。[4]
- 家にいる方が仕事よりも疲れる
- 抱っこしても泣き止まずイライラする
- 泣く子どもの背中をさすりながら「黙れ」と叫びたくなる
このように、子どもは可愛いはずなのにつらいという葛藤は、決してめずらしいことではありません。
まずはつらさを感じる自分を責めず、自然なことだと受け入れましょう。
父親ができる育児ノイローゼ対策
父親ができる育児ノイローゼ対策として、以下が挙げられます。
「まぁいいか」と考える
育児ノイローゼには、力を抜いて受け止める姿勢が大切です。
理想の父親像が強いと心身が追い込まれ、より強いストレスを感じてしまいます。
そのようなときは「今日はうまくできなかったけど、まぁいいか」と受け止めてみましょう。
完璧さを求めるより肩の力を抜いて家族と助け合うことが、父親のこころを守る工夫になります。
子育て中の父親とつながる
育児ノイローゼの予防には、父親同士のつながりが大切です。
厚生労働省によると、父親同士で話すことでストレスが軽減しやすいとされています。[5]
会社にいる子育て中の父親と話したり育児ブログを読んだりするだけでも、気持ちが楽になるでしょう。
育児ストレスをひとりで抱え込まず、父親同士で無理なくつながることが大切です。
感情のモニタリングをする
育児ノイローゼのサインを見逃さないために、日記やアプリにイライラや不眠などの症状を記録しましょう。
厚生労働省では、心身の不調を見逃さない工夫として簡単なセルフチェックを推奨しています。
とくに赤ちゃんが生まれたばかりの時期は環境の変化が大きいため、エジンバラ産後うつ病質問票のようなセルフチェックが有効です。
エジンバラ産後うつ病質問票は、産後うつの可能性を評価する心理検査で、父親の産後うつへの評価としても国際的に使用されています。
男性は8点以上で産後うつの可能性があるとされているため、心身の調子を確認するためにチェックしてみましょう。[6]
エジンバラ産後うつ病質問票について知りたいときは、こちらの記事を合わせてご覧ください。
父親もひとりで悩まず相談しよう
育児ノイローゼは、育児による強いストレスや疲労から自然に起こる自然な反応です。
精神疾患への発展を防ぐために、イライラや孤独感などのサインをひとりで抱え込まず、専門家に相談しましょう。
famitasuのオンラインカウンセリングでは、ご自宅からでも安心して気持ちを話すことができます。ぜひお気軽にお問い合わせください。
参考資料
[1]国立成育医療研究センター
日本の父親における精神的な不調の頻度とそのリスク要因
https://www.ncchd.go.jp/scholar/assets/7a9c3db5c293e8016ca72df23efe9877.pdf
[2]清水いづみ 浅野みどり
一般的な父親の子育てストレスとNICU退院後の父親の子育てに関する国内文献検討
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jschn/30/0/30_30_131/_pdf
[3]板東正己 平澤久一 田中静枝 津島和美
パタニティブルーの精神的・心理的視点
我が児の誕生に伴う父親の心理的動揺と変化に関する実態調査
https://www.kansai.ac.jp/pdf/kuhs_kiyo_06/18_er_bando.pdf
[4]Kimiko Higashio, Ayako Sasaki
The Paternal Mental Health, Difficulties for Fathers with Children in Early Infancy, and Their Educational Support Needs
https://www.scirp.org/pdf/health_2021080414044119.pdf
[5]厚生労働省
父親のワーク・ライフ・バランス
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/wlb_120621.pdf
[6]日本小児科学会成育基本法推進委員会報告
男性の産後うつと育児休業に関するアンケート調査
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20230309_seiikukihonhou_houkoku.pdf