山形大学の研究では、約75%の人が産後12か月で生理が再開するとされています。[1]
ホルモンバランスは個人差が大きいため、産前産後で生理前の不調が改善する人や悪化する人などさまざまです。[2]
この記事では、産後における生理前のメンタル不調の症状や対処法について解説します。
産後に生理前のメンタル不調が現れやすい理由
産後に生理前のメンタル不調が現れやすい理由は、ホルモンバランスの変化です。
女性ホルモンのエストロゲンは、妊娠後期に通常の500倍から1,000倍まで増加し、産後は急激に低下します。[3]
授乳により分泌されるオキシトシンは赤ちゃんを守る気持ちを強めるため、ママの攻撃性が高まる一因となります。[3]
ホルモンバランスが大変動する中、産後のママは赤ちゃんのお世話に忙しく、睡眠・栄養・運動などが不足し身体が十分に回復できません。
このように産後のホルモンバランスの変化や疲労などにより、生理前のメンタル不調が現れやすくなるのです。
産後に現れやすい生理前のメンタル症状
乳幼児を育児中の女性を対象とした研究では、産前と産後で生理前に現れやすい症状が異なるとされています。[4]
■産前
■産後
とくに産後の生理前に目立つのは、以下のような症状です。[5]
・イライラする
・攻撃的になる
・ひとりでいたい
・子どもがうるさい
・気分を抑制できない
・物事がめんどうくさくなる
・家族や友人に暴言を吐いてしまう
感情的な気分に悩んでいるときは、生理によるホルモンバランスの変化が影響している可能性があります。
ただ、生理周期に関係なくメンタル不調が気になるときは、産後うつの可能性を考える必要があるでしょう。
産後うつについて知りたい方は、こちらの記事をあわせてご覧ください。
産後における生理前のメンタル不調の対処法
生理のときに不快な症状が強く出る方は、夫による育児サポートが十分でないと感じ、生活の満足度が低いことがわかっています。[4]
産後は家事や育児などをしながら生理期間を過ごすため、生理時は家族や周囲の協力が欠かせません。
ここでは生理前におけるメンタル不調の対処法として、周囲の協力を得る具体的な方法を3つ紹介します。
夫のタイプに合わせて説明する
男性は生理によるメンタル不調を理解するのは難しいため、夫のタイプに合わせた説明が必要です。
実際に生理周辺の妻に対する夫の対応は、以下のようなものが多いことがわかっています。[6]
身体症状に対して:家事を手伝ったり腰をさすったりする
精神症状に対して:逃げる
メンタルが落ち着いているときに夫と話す時間を取り、あなたが生理時に感じやすい不調について事前に説明しておきましょう。
夫の理解が得られにくいときは、病院で産婦人科医から説明してもらったり、生理期間のメンタル不調について書いてある本のコピーを渡したりするのが有効です。[7]
夫の理解しやすそうな方法に合わせて説明し、少しずつ理解と協力を得てくださいね。
生理前はムリして子どもと関わらない
生理前のメンタル不調があるときは、ムリして子どもと関わらず少し距離を置きましょう。
子どもが理解できる年齢であれば生理前の不調について説明し、以下のようにひとりになる時間を作ってこころと身体を休めてください。
身体の声を聴いてムリせず休むと、こころにも余裕ができてイライラや憂鬱さなどのメンタル不調が軽減します。[7]
生理時はひとりで頑張らず、夫や子どもに協力してもらい心身を休めましょう。
専門家に相談する
生理前のメンタル不調が改善されないときは、ガマンせず専門家に相談してください。
小学生以下の子どもと同居している方は、気になる症状があっても仕事や育児で病院に行く時間がなく、身体のメンテナンスが後回しになりやすい傾向があります。[8]
ただ、生理前の症状はホルモンバランスや疲労の影響などによるものであり、自分の意志で解決できる問題ではありません。
つらさをひとりで抱え込まず、専門家への相談でこころと身体に余裕を作りましょう。
病院に行く時間がない方は、famitasuのオンラインカウンセリングをご利用ください。
チャットでの相談も可能ですので、育児で忙しくまとまった時間が取れない方にもおすすめです。
産後における生理前のメンタル不調がつらいときは相談を
産後はホルモンバランスの変化や疲労などにより、生理前のメンタル不調が強く出ることがあります。
症状の出方は個人差が大きいため、他人と比較して落ち込む必要はありません。
家族の理解と協力を得ながら、ムリせずゆっくり生理期間を過ごしましょう。
famitasuのオンラインカウンセリングでは、あなたのご相談をお待ちしております。ぜひお気軽にご相談ください。
参考資料
[1]妊娠期からの食事要因及び生活習慣と授乳期間・月経再開時期に関する追跡調査
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-20592601/20592601seika.pdf
[2]板橋区公式ホームページ
[3]新潟市
[4]乳幼児を育児中の女性の月経随伴症状と子どもへの対応に関する検討
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjam/23/1/23_1_37/_pdf
[5]月経周期に伴う育児感情尺度(短縮版)の開発と有効性の評価
https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-15K11678/15K11678seika.pdf
[6]乳幼児を育児中の女性における月経周辺期のポジティブ
変化・ネガティブ変化と月経イメージとの関連
https://i.kawasaki-m.ac.jp/mwsoc/journal/jp/2020-j29-2/P333-340_maniwa.pdf
[7]こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/over/863
[8]内閣府男女共同参画局
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r06/zentai/html/honpen/b1_s00_02.html